お知らせ高等学校
生徒・保護者の皆様へのメッセージ(6)
【私の本棚より】
いよいよ学校も来週から始まります。皆さんは新年度が始まってから2か月よくここまで辛抱強く、自分を律しながら過ごしてきたと思います。常に自分との戦いでもあったでしょう。その間、色々と考えることも多かったと思いますが、まずは前を向いて進んで行くしかありません。感染予防に細心の注意を払いつつ、学校生活を送れる喜びを感じながら頑張っていきましょう。
では、休校中にお届けした学校長によるメッセージも学校再開を機にいったん打ち切りますが、最後に、以前「読売新聞」に掲載された学校長のブックレビューをお送りします。
「生き方 人間として一番大切なこと」 稲盛和夫著
著者は27歳で京セラを起業し、「人として正しいことをする」を経営方針に掲げました。「うそをついてはいけない」「正直であれ」「欲張ってはいけない」-。こうした単純で当たり前のことを守るべき基準にしました。さらに、他人を幸せにするために生きる「利他」の考え方も、大切なこととして挙げました。
現代は「不安の時代」と言われます。そんな時代に最も重要なのは「人間は何のために生きるか」ではないでしょうか。「正しいことをする」「利他をモットーに生きる」。著者はこの2点を中心に、人の生き方を説きます。私はこの本と10年前に出会いましたが、内容にとても共感し、何度も読み返しています。
何年か前のことです。本校の野球部員たちが太平山をランニング中、高齢のハイカーに道を尋ねられました。部員たちは足を止め、丁寧に説明したそうです。後日、このハイカーから学校に届いた手紙には、部員たちの親切な対応へのお礼と、気持ちの良い挨拶を称賛する言葉が記されていました。私は部員たちの行動は、著者が説くことにまさに通じると思い、全校生徒に早速、「当たり前のことが喜んでもらえるのです」と報告しました。
この本は、あっと驚くような経営ノウハウを紹介するものではありません。生き方に悩む皆さんにもぜひ、読んでほしいと思います。
*著者は、京都セラミック(現・京セラ)、第二電電(現・KDDI)の創業者で、かつて経営破綻した日本航空(JAL)の再生にもあたった。本書は2004年に初版が発行されて以来、すでに120万部を突破したベストセラー。
校長 青木一男
《バックナンバー》
生徒・保護者の皆様へのメッセージ(5)【何のために学ぶのか(2)】
青木一男学校長からメッセージ(4)【何のために学ぶのか(1)】
青木一男学校長からメッセージ(3)【夢はどこまでも続く(2)】